灯

ぬくもりを灯す

帰り道が好きだ。慌ただしかった業務を終えて帰る家路。特に秋と冬が好きだ。秋は夕暮れの、赤い街並の中を。冬は、街灯が照らす中を歩く。通り過ぎて行く家々の窓に、灯りがともっている。その光を眺めるのがいい。窓から灯りが漏れるということは、そこに人の生活があるということだ。どんな人が住んでいるだろう。子どもは何人いるだろう。もう、お父さんは帰ってきているだろうか。家の灯りをひとつひとつ眺めながら、そんな想像をするのが楽しい。そんなふうに思うのは、自分も家を持ったからか。道の向こうに我が家が見えてきた。その灯りが一番好きだ。早く、家族の笑顔に会いたい。自然に、足取りが早くなっていく。