刻

季節を刻む

「おれたち、結婚して何年経ったっけ?」、唐突に、夫がそう聞いてきた。二人で庭の手入れをしていた、休日の午後。突然の言葉に、一瞬答えそびれて、間が開いた。「いや、この家も年季が入ってきたなと思ってさ」。夫はそう言葉を続けた。言われてみれば我が家はずいぶん、歴史を感じさせるようになってきた。外壁の色も、屋根の色も。草木の繁り方も。私たちの髪にも、白い色が交じってくるわけだ。「結婚して、28年。家を建ててから、25年くらいかしら」「そうか……」。二人でしばらく家を見上げた。「これからもよろしくな」と、夫が家の壁を撫でながら言った。少し照れくさそうだったのは、きっと、私に向けての言葉、だったのだろう。